• 第15話 (四)白蛇伝~「コムカラ峠」外伝~

    ~2014.01.27(月)~  その後も母の言い付けを守り日曜日の朝には“山羊の乳”を貰いに下駄屋に通った。  しかし、あの吹雪の朝を最後にして雪ちゃんが姿を見せることはなかった。彼女の近況を老婆から聞けるはずもないまま時が過ぎて行くうちにすっかり忘れてしまった。街中では相変わ...

    2014.01.27, 月曜の朝, コムカラ峠

  • 第15話 (三)白蛇伝~「コムカラ峠」外伝~

    ~2013.11.11(月)~  その年が明けて間もない吹雪の朝のことであった。  苫小牧を出る時に叔母から貰った帽子を被りいつもの通り下駄屋に向かった。防寒用の帽子は毛糸で編んだマフラーを頭巾に縫い合わせた簡単なものだが、頭からすっぽりて被って顎のところで両端を結べば襟巻にもな...

    2013.11.11, 月曜の朝, コムカラ峠

  • 第15話 (二)白蛇伝~「コムカラ峠」外伝~

    ~2013.10.14(月)~  毎週、日曜日の朝が来ると母から風呂敷に包んだ空のビールビン2本を持たされた。  私はそれを背中に括り付け徒歩で30分ほど掛かる下駄屋に向かった。裏玄関から表通りに出て隣の写真屋を右に折れ、川べりに並ぶ屋台に沿って行くと弾丸道路(旧国道36号線)に...

    2013.10.14, 月曜の朝, コムカラ峠

  • 第15話 (一)白蛇伝~「コムカラ峠」外伝~

    ~2013.09.02(月)~  平成十五年春、知人の薦めで応募した拙文がはからずも「第23回北海道ノンフィクション大賞」を受賞した。「コムカラ峠」と題した受賞作品の舞台は、昭和二十六年に勃発した朝鮮戦争を契機に米軍基地に豹変した千歳の街、作者が出逢った人々や見聞きした様々な出来...

    2013.09.02, 月曜の朝, コムカラ峠

  • 第14話 敦盛の残影

    ~日本人に潜む美意識~ ~2013.08.05(月)~  今年ほど“待ち遠しい”と願う“春”はなかった。  四月初旬のこと、まだ肌寒い空だったが春めいた気配に誘われ神社山の境内を訪れた。   すると、林の向こうの日だまりに萌葱色の芽が、ひとつ、ふたつと地面から顔を出しているのが目...

    2013.08.05, 月曜の朝

  • 第13話 郷愁の彼方に

    ~再び咲いた胡蝶蘭~ ~2013.06.03(月)~  今年のゴールデンウイーク、久しぶりに十日間の休暇をもらった私は家内と一緒に自宅で気ままに羽根を伸ばすことが出来た。近くの川べりや青葉公園を巡る散歩、むかし母に連れて行かれた魚屋と肉屋、馴染みの“そば屋”で昼食、ドライブ(新車...

    2013.06.03, 月曜の朝

  • 第12話 城下町を訪れる

    ~2013.05.06(月)~  先日、岡山県高梁市を訪れた。山田洋次監督の映画ヒット作品「男はつらいよ」で2度ほどロケ地に選ばれたおなじみの街である。備中・臥牛山南麓の盆地に広がるこの街は人口約3万4千人(約1万5千世帯)の小さな城下町だが鎌倉時代から約750年の高梁は山陰と山...

    2013.05.06, 月曜の朝

  • 第11話 雨ニモマケズ・・・

    ~2013.04.01(月)~  先日、(株)JR北海道に勤める知人より札幌駅JRタワー設立10周年を記念する催事とのことで「雨ニモマケズ」と題した宮沢賢治展の入場券とパンフレットを頂戴した。  その冒頭に「東日本大震災から2年が経過し、東北が復興を目指す中(中略)彼が生まれた年...

    2013.04.01, 月曜の朝

  • 第10話 創立三十周年記念、外伝!黎明期

    ~北海道の“未来”を手繰り寄せる~ ~2013.03.04(月)~  弊社は来る四月一日付をもって会計年度を第三十期と更新し創業三十周年を迎える。  設立当時(昭和五十九年六月)、北海道は国際化に伴う情報化社会の潮流に漕ぎ出して「一村一品運動」を契機に「北方圏構想」や「ハブ国際空...

    2013.03.04, 月曜の朝

  • 第9話 「月」をめでる人々

    ~2013.02.04(月)~  今年の冬は例年になく厳しい寒さに襲われ、私も風邪に見舞われてしまった。  幼い頃、真夜中に熱を出すと遅くまで働いていた母が眼を擦りながら氷枕を作り冷たいタオルを額に当ててくれると「熱は潮の満ち引きで治まるから、きっと朝にはよくなるよ、安心しておや...

    2013.02.04, 月曜の朝