• 第5話 少年時代(三)

      ~2012.5.7(月)~  二人とも堂々と真正面で向き合った。 敵が本気で身構えるとさすがに隙がなくてまったく手が出せず、それは何人も寄せ付けない恐怖に満ちたプレッシャーだった。もちろん、咄嗟に思い着いた「蹴り」や「肩すかし」など通ずるはずもなく、蛇に睨まれた蛙と同じで容赦...

    2012.05.14, 月曜の朝

  • 第5話 少年時代(二)

    ~2012.4.9(月)~  私は放り投げられた勢いに乗じて素早く身をかわし草むらの中に逃れた。背後は川べりに生えた葦が茂りかろうじてその陰に隠れることが出来た。川面を渡る冷たい風が葦の葉を揺らしカサカサと囁く声と浅瀬に寄せるさざ波の音以外には何も聞こえず、何事もなかったように静...

    2012.04.09, 月曜の朝

  • 第5話 少年時代(一)

      ~2012.3.12(月)~  昭和20年、私は敗戦が迫る苫小牧で生まれた。・・腹を空かせてピイピイと泣く赤子のお前を抱きながら凄まじい艦砲射撃の中をあっちこっちと死にもの狂いで逃げ廻り・・誰ひとり頼らずにふたりともよく助かったものだよ!・・と母からよく聞かされた。また、・・...

    2012.03.12, 月曜の朝

  • 第4話 愛犬ネオのこと

    ~2012.2.6(月)~  昨年の暮れのこと、ススキノで忘年会を終えた後、二次会を断って一人になった。 宴会の終盤当たりからN君と呑んでいたが話題の中心は彼の愛犬“ハナ”の自慢話、聞くうちに妙に淋しい気分に落ち込んでしまった。昨年の秋、私は愛犬“ネオ”を亡くしたばかりでN君の話...

    2012.02.13, 月曜の朝

  • 第3話 情報化社会の夜明け

    ~2012.1.1(日)~ ~東洲斎写楽の周辺を探る~  近年、パソコンと通信技術の飛躍的な発達により職場環境や生活様式が画期的に変わった。かつて、個人ではなかなか入手し難い情報も容易に得ることができるし、各企業間はもとより企業対個人、個人対個人に至るまで、しかも国際通信網によ...

    2012.01.09, 月曜の朝

  • 第2話 長崎のこと

    ~2011.12.1(木)~  今、時代が大きく変わろうとしている。  日本、そして我々の故郷であるこの北海道も政治・経済・産業・学術、日常生活など 広範囲に亘り“改革”や“変化”を余儀なくされている。“大都会”と“地方”の格差が広がるばかりだからである。約160年昔、明治時代か...

    2011.12.05, 月曜の朝

  • 第1話 秋日和の中で

    ~2011.11.10(木)~ 昨今、世界中の政治と経済の混迷、身近なところでも暗い記事が賑わう中、 久しぶりにポカポカとのどかな秋日和が続いている。 昨日の午後二時頃、この陽気に誘われ得意先からの帰り道に道庁の庭に立ち寄った。 弊社が設立して早や28年が過ぎ出発点となった事務...

    2011.11.14, 月曜の朝

  • 「月曜の朝」のこと

     会社を設立して8年目、業績が伸びはじめ私なりに手応えを感じた頃のことである。  社内の壁に「月曜の朝」と愛称をつけて伝言板を設けた。常に一週間のはじまりの如く忙しくても清々しい気分でありたいと自分に言い聞かせ、“気を引き締めて行く”ことを念じて思い付いたのがこの愛称であった。毎...

    2011.11.04, 月曜の朝