龍馬会設立の想い

2011.09.16, 坂本龍馬研究

明治維新の立役者坂本龍馬の精神に学び、職業や年齢にこだわらない自由な立場で
“夢”を語ろう……と4年前、北海道龍馬会を設立した。
私はたまたま発起人に加わったことから、以来事務局を手伝うことになった。
設立当初から150名を超える龍馬ファンが集まった。
現在会員数は約200名に増え、88歳の年長者を筆頭に小学4年生まで男女を問わず、
幅広い年齢層で支えられている。
折しも“よさこいソーラン祭り”ブームのさ中、こうしたイベントに乗じたと見る人もいるので、
出会う度に反論している。
たしかに、龍馬人気は年々高まっている。
その要因の一つに“変革の時代”に相応しいリーダーを待望する一般市民の熱意が
あげられる。北海道も例外ではない。世代を超え、こうした“夢”を追い求めるエネルギーが、
全国随所に溜まり浸透しはじめたと見る。
この点、ある地域限定で特定期間に集中するイベントとは、いささか趣向を異にする。
広がりは海外にまで及んだ。一昨年米国のロミュラス・ヒルズボロウ氏が、
14年間に渡る膨大な研究成果を「RYOUMA~life of a renaissance samurai~」に著し、
日本の研究者や龍馬ファンを驚かせた。
“前総理もこの著書に触発されたらしい”と、関係者がもらしたエピソードがある。
小渕恵三前総理(実は大の龍馬ファン)は、念願であった沖縄サミットの席上、
是非龍馬を紹介したいと発憤。専門家を官邸に招き勉強をはじめたとのことである。
今となってはその真意と内容は不明だが、新世紀を迎えるにあたり、
世界に通用するリーダーとして龍馬を国際的な場で証明したいと念じていたことは容易に想像できる。
約140年前、内戦を怖れ平和主義に徹した龍馬が、北海道に新天地を求めた。
志半ばにして倒れた後、その意思を受け継ぎ甥や親族が本道に入植。
海援隊をはじめ大勢の縁者達が北海道開拓に心血を注いだ。
その後本道は、5世代に及ぶ人々が住み着く国土にまで発展。
将に、龍馬が抱いた“百年の大計”が成就したと言うことになる。
言を替えれば、ここに来て新たなる“百年の大計”を誰かが作らねばならない。
そうであれば、今こそ“北の龍馬”の登場が望まれるのである。
本財団に関わる若手研究者諸君もこの期待の中にある。
果たして如何なる“希望”を抱き、“百年の大計”を描くか?。
それらは全て各人の郷土を愛する胸の中に必ずあるはずだ。

2002年 秋山財団年報 寄稿文より